出演者の一人、白井真木さんが釧路での旅公演を無事終えられ、当方のワークショップに復帰された。配役については本番当日のお楽しみにとっておくことにするので、あまり多くのことをこのサイトで書き散らすわけにも行かないが、白井さんの復帰によって、俄然、私が役者としてなすべき仕事が増えてきた(要は、白井さんとの絡みが多いのである)。
26日は、初の出演者全員集合。監修のTADAZUMI先生をはじめスタッフさんも多数参加下さり、改めて今回の顔ぶれの頼もしさを痛感する。皆、技と志を持った方々ばかりだ。
28日、うってかわってこじんまりと、白井さんと抜き稽古。この『香炉峯』という作品、途中で私と白井さんが名詞を交互に列挙するシーンがある(ああ、内容をハッキリ言うわけにはいかないもどかしさ…)。台詞としては、ただ、二人が互いに名詞を並べて行くだけだ。しりとりのような感じである。台本の紙の上ではただそれだけのことなのだが、それが、白井さんという役者の出現によって思いもかけない様相を帯びてくるところが演劇は面白い。しかしこのシーン、もっともっと稽古して究めたい。
30日、そろそろ立って動こうということに。今まではただひたすら台本の読みを行ってきた。最初は、皆さん、立って動くどころではなかったと思う。台本を渡した当初、「?」という表情だった。それはそうだろう、現代演劇の俳優に能の台本を渡したようなものなのだから。一方、能楽師の空也坊さんから見たら、「こんな長い能の台本は有り得ない」と危惧されたわけである。
しかし、実は、なんのことはない。「俳優」「能楽師」という括りに縛られず、今申楽をやって戴けると信頼出来る役者さんに今申楽の台本をお渡しした、ただそういうことだったのだ。最近は皆さん表情が生き生きとしてきた。この雰囲気はとても嬉しい。物創りの現場の雰囲気だ。
もう、ワークショップという期間は終えて良いだろうと判断した。皆さん、もはや作演出と対等の視線でこの台本と作品を考えて下さっている。
いよいよ5月。本番まで正味一月。
これからはワークショップではなく稽古期間と考えることにした。
機は熟している!