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人間国宝ってなんなんざます?

とある日本の伝統芸能関係のサイトを眺めていて、ふと気付いたことがある。
このサイト、他の同類サイトとは一線を画している点が一つある。「重要無形文化財保持者」なる表現がたびたび登場し、そして一切、「人間国宝」という表現を使っていないのだ。
なるほど、センスとか品位とかいうものはこういうところに滲み出るものか、と痛感。

実は、「人間国宝」というのはマスコミが勝手に作り上げた呼び方である。「重要無形文化財保持者」が正しい。
私は昔からこの「人間国宝」という言い様がどうにも肌に合わなかったクチである。

その理由。まず、国宝というのは重要文化財、いわゆる重文の一部を指す概念である。「重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものであるとして文部科学大臣が指定したもの」(文化財保護法27条2項)がすなわち国宝である。つまり、国宝と重文は同じではない。異なる概念である。
しかも、重文のうちどれを国宝と定めて良いものかというと、この判断が大変難しいのである。日本史の教科書に出てくる有名な国宝円覚寺舎利殿、あれを国宝にしてしまったのも実は学者の早とちりで、本当は重文で十分(失礼)なんだそうである。他にも、「え、なんでこれが重文なの?国宝で良いのに」「え、なんでこれが国宝なの?重文で良いのに」と思わせる例は、管見の限りでも少なくない。奈良・談山神社十三重塔などは前者の好例であろう。
国宝というのは、相当重い言葉である。ことほどさように、国宝と重文は違うのだ。

だから、せめて「人間国宝」はやめて「人間重文」にして欲しい。と、言いたいところだが…「人間重文」という呼び方もまた間違っている。私はそう思う。
「財」や「宝」は、ふつう、人が人以外の事物を指して使う言葉であろう。
否、人が人を指して使う場合もあるかも知れない。その場合、国民はみな国宝のはずだし、人類はみな重要文化財に認定されるべきである。
「国宝や重文の枠内に特定個人がカウントされる」などという現象は、理想から言っても事実から言っても存在しない。「国宝や重文を持っている特定個人」ということならばあり得る。
というわけで、ここはやはり「重要無形文化財保持者」が正しいという結論に落ち着くのである。ちょっと長いからといって、「人間国宝」などという法的にも倫理的にも誤った略称を軽々に用いるべきではあるまい。
特に文化財関係者やマスコミといった、文化に関わる仕事をしている人間こそ率先して慎重な言葉使いを心がけるべきであろう。

「人間国宝」などと言われるとつい鼻白んでしまう庶民感覚の方が、よほど文化的だ。そちらの方が言葉に対して敏感であり、かつ正当な反応というものである。
私はそう思う。

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コメント (2)

徳永順子:

はじめまして
昨夜、多田富雄先生を検索中に朧太夫さまにお目にかかりました。ラッキー!

美術館、博物館等で、これが「国宝」?と、首を傾げたくなることもありますし、これはきっと、「国宝」!とおもったら、「重文」だったり・・・
変だとおもいながら、使ってる言葉のひとつですが、「人間国宝」、確かに変ですよネ!
「重要無形文化財保持者」では長いですし。
例えば「重・無・文・保」、「重文保持者」とか、語呂の良いのを縮めて定着させるとか・・・
文化庁の方に考えていただきましょうか?(笑)

ごきげんよう

徳永様初めまして。コメント有難うございます。
御同意下さいましたこと、大変嬉しく存じます。
なぜこれが重文なのかと合点の行かぬ例は本当にたくさんありますよね。私としては談山神社十三重塔の他、京都寿宝寺千手観音立像なども引っかかっております。手が本当に千本近くあるという数少ない例ですのに。

「重要無形文化財保持者」が10字、「人間国宝」が4字。間をとって「無形重文保持者」7字といった辺りではいかがでしょうか…?

本当に文化庁の方々には、文化財意識の底上げという問題にもっと熱心に取り組んで戴きたいものですね。
ごきげんよう。

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2004年07月13日 08:30に投稿されたエントリーのページです。

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