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若者に国語や日本史に興味を持ってもらう事が大事

一頃、「自虐史観」なる言葉が流行った。
戦前戦中の「皇国史観」に対するアレルギーから、戦後歴史学はおよそ左傾化の道をたどったと言って良い。その最たる現象は、天皇制に関する研究をタブー視したことである。臭いものには蓋をしろという、一部左翼学者の低次元な発想がその原因であった。
今日、時代劇というと武家を主役にしたものばかりで、公家はほとんど登場せず、たまに出てきても白粉を塗りたくった妖怪のように描かれるのはその影響である。
京都とか朝廷とかいうものに対して、現代人の多くは一部の左翼のせいで非常に鼻馬鹿になっているのだ。
作家の故・松本清張氏が「なぜ天皇制が続いたのか、歴史家は説明してくれない。平氏も源氏も、足利氏も徳川氏も、天皇に代わろうと欲すれば簡単に代わることは出来た。にもかかわらず、なぜ?」と、歴史学会を痛切に批判した一件は有名である。
近年亡くなった歴史学者・網野善彦氏は、マルクス史学という立場にありつつも、歴史学の正面から、天皇とは何かを終生問い続けた。
ここ最近は、戦後以来の左翼傾向に警鐘を鳴らすべく、漫画家・小林よしのり氏らが反動的に右傾化し始めた。余談だが氏の代表作『ゴーマニズム宣言』は、初期の、まだ氏が右翼でも左翼でもなかった頃が一番面白かった気がする。最近はギャグ漫画ではなく言論漫画になってしまった。御坊茶魔の馬鹿さ加減をいつか取り戻してもらいたい。
さて、この最近の右傾化を「ぷちナショナリズム」と呼んだのは精神科医・香山リカ氏であったと記憶するが、この一連の右翼系論陣から、戦後歴史学は「自虐史観」なる蔑称を送られることとなったのであった。
一頃は『新しい歴史教科書』騒動で、この言葉もだいぶ流行ったものだが、今は沈静化した模様である。

私自身は、右であるか左であるかということに要らぬこだわりを持ってはいない。
双方の歴史書を流し読みしていると、ある一つの史実をいかに観るか、単なる史観の相違というに過ぎぬこともままある。複数の史観をもって考えた方が良いような、複雑な史実もある。源頼朝だの織田信長だのはかなり複雑な人物だと私は思うので、彼らに対する複数の意見を知っておきたくなる。
とにかく、違うのは史実をいかに観るかであって、史実を知ろうという態度は右翼左翼ともに共通している。

私は、とにかく右でも左でも良いから、もっと民族の歩んだ道とか民族の残したものに興味を持たせる教育が、今の世の中すごく必要なことだと思う。
現代人はあまりにも自らの足元に関心がなさ過ぎると思う。

そういえば、こんなことを思い出した。
私の弟が、高校時代、修学旅行に行くことになった。旅行先は京都だという。
で、どこをまわるかは生徒が自分たちで決めて良いということだった。自主性を育む狙いなのだろう、そこは大いに結構だと思う。
ただ、そこで生徒が大阪にオープンしたばかりのユニバーサルスタジオジャパンに行くと提案し、教員らがそれに対し何も文句を言っていないと聞いて私は怒った。

いったい何のために京都に行くのか。

何も百パーセント遊びに行くというわけじゃない、それも立派な現代社会の見学じゃないか、などと愚弟が言い出したところまではうすボンヤリと覚えている。あとはあんまり詳しく覚えていない。とにかく猛烈な勢いで弟を論難し、(しかし弟の高校の方針を全否定するわけにも行かぬから)ユニバーサルナントカが断じてならぬとまでは言わぬが、とにかく修学旅行中、京都が長らく日本の首都であったという事を示す証拠に必ず触れて来なさい、大阪での出張遊びはほどほどにせよと訓戒を垂れたのであった。
あとで聞けば、弟は旅行委員の一人だったらしい。

帰って来てから弟に京都の感想をたずねたところ、こちらが思いがけぬほど楽しげに報告するには、嵯峨野清凉寺の釈迦如来像に感動した、あと二条陣屋の色んな仕掛けが楽しかった、などと言っていた。

兄馬鹿と言われて一向に構わぬ。私は及ばずながら、私より若い一人の日本人を救ったつもりである。
学校の先生方にお願い申し上げる。
京都での修学旅行で生徒が大阪のユニバーサルスタジオに行きたいと言い出したら、たしなめて戴きたい。
自主性尊重は大いに結構だが、若者に対し国語とか日本史に興味を持ってもらうきっかけの旅であることを忘れないで戴きたい。
もしもアメリカの映画文化に触れさせたいという事であれば、修学旅行地は京都ではなくハリウッドがよかろうと思う。あるいはテーマパークにおける社会科見学ということであれば、東京ディズニーランドの方が近いし勉強になるはずである。

でも、そういうことではなく、ただ単に何も考えていないだけの話なのであろうから、そういう病を次世代にうつすのは止めましょうと提言してこの稿を終える。

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2004年08月24日 04:10に投稿されたエントリーのページです。

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