最近は今申楽次回作『修禅寺』の公演日程・会場が本決まりした事もあり、はや逃げも隠れも能わぬ仕儀と相成って、第二稿に悶々とする日々である。
こうなると、朝な夕な念じ続ける事はただ一つ、
「今、私が事故なり病気なりにあって死んでみよ。『修禅寺』は第一稿があるばかり。朧座衆はそれを元に何とか上演にこぎつけてくれるであろうが、さて、それで私は本当に成仏出来るであろうか」
また縁起でもない事を書いてしまった。しかしこうでも思わぬ限り、筆の進みがのろくてのろくて、何より書いている本人がたまったものではない。
かかる折は気分転換が何よりの大事。
先日、ついに煩悶やる方なく、ええままよと、足の向くまま神奈川県のさる土地に気晴らしに出かけた。
と、そこで思いもかけず出会ってしまった訳なのである。
この作品の、二人いる主役のうちの一名と、今ひとり大事な脇役。
この二人が、なんとそこにはいたのである。
「ユー!」と叫んで街中の美少年を発掘するという、かの芸能事務所社長の心持がいささか分かる気がした。
ああ、人生はなんと未知と不思議とに満ちてある事か。
呆然と立ち尽くし、いつまでもいつまでも、ガラスケースの中に仲良く居並ぶその二面をためつすがめつ眺め続ける事であった。
帰りの車中の心中朗らかなる事、申すまでもない。あな、よき日なりけり。