「声」という役がある。この「声」から、人間臭を消し去りたいという思いがある。
それでいて、その役者本来の人間的魅力を損なうような事も決して本意ではない。そこが難しい。
女形。日本舞踊に学ぶところが大きそうだ。基本的な立ち方、座り方、歩き方…斜に、半身に!川野氏の御教示によれば、日舞には男が女を演じるための全ての所作が含まれているという。恐るべし。
頼家政子シーン。思うところあり、今日の政子はとことん悪魔のような鬼母で演じてみた。あとで川野氏に「3回ほど斬りたくなった」といわれた。今までの政子の台詞は正論だけに抗えない部分があったが、それが今回はなかったと。だからさほどの葛藤もなく、いつもに比べれば頼家は楽そうだった──私にはそう見受けられた。
つまりは逆効果だったのだろうと思う。私は本当は頼家を苦しめねばならないのに…。
観ていた他の役者からも「おい政子、それはないだろ」的な感想が上がっていた。
そりゃそうだろうなと演ってる私自身も思った。
母は難しい。
家臣甲乙(JERSEY氏・阿部氏)のシーンが良くなってきている。量自体は少ないが、頼家の孤独を描く為に欠くべからざるシーンである。
赤子の抱き方。これも川野氏に御教示を戴いた。氏は三年前に一児の父となられただけあってとても詳しい。右手は首に要注意、左手は体を締めすぎて窒息させぬよう…
母は大変である。
物語終盤の殺陣シーン。失われた頼家の表情がここで回復する事に。台詞も追加することに…
私の中でかねて思い浮かべていた台詞と、川野氏の口から飛び出してきた台詞が完全に一致していて嬉しかった。
ああ、このシーンに向けて全ての怒りも哀しみも収斂されて行くと良いのだが。