今日は久方ぶりに、川野丈と二人きり。
髪型、血、太刀、鞠などなど、気になつて居る事どもを細かに洗ひ出して居つた。
ちなみに太夫は「走馬灯」をよく知らず、丈に教示を蒙つて居つた。(こたびの申楽で走馬灯を使ふ案があるさうな)
彼らは殺陣をただのチャンバラにはしたくないと言ふ。太刀と太刀とが斬り結ぶ時、そこにえもいはれぬ妙音の漂ふやうな、さやうな美しいものが創りたい。我ら二人が観てもつひぞ幻滅せぬやうな、本物以上の本物が創りたいと。
ほほほ。さてさて、お手並拝見と参らうか。
と、その時ぢや。丈が太夫にかやうな事を言ひ出したのは。
「最後、僕と太夫で、この親子に舞をプレゼントしませんか」
な、何ぢやと?