今日明日は合宿なる由にて、辰の半刻頃、役者五名鎌倉駅にうち揃ひまづは鶴岡に詣でた。公演成功を念じ、絵馬に五名連署して奉納す。
その後、大倉御所址、佐殿の墓、段葛、由比ガ浜、妙本寺、寿福寺と見て回つた。
佐殿の墓に詣でて、彼らはやうやく笹竜胆が源氏の家紋と悟つたやうぢや。太夫、勉強が足らぬて。それも見て歩きの妙味なぞと他の衆にごまかして居つたが…嘆かはしや。
段葛。二ノ鳥居から先はいづこに消えたのぢや…跡形も無く、言葉も無し。
太夫、わらははなう。この道を歩いたぞ。あの子と共に、歩いたぞ。
おぬしに、あの子を負うてこの道が歩けるかえ。
歩いてもらはねば、困るのぢや。
よしなにの。よしなに、よしなに、よしなにの。
由比ガ浜に着く。若い衆がなう、楽しげに遊んで居るのぢや。
あの子も将軍の家になぞ生まれなんだら、なう。
それにしても、川野丈。おことは心なしかあの子に似て参つたなう。