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陰暦4月27日その2

いろんな劇団のホームページを見ていると、まだ台本が全然上がっていないのに稽古に突入というようなケースが多いのに驚く。需要から言えば、役者はたくさんいる、作家は少ない。だからであろう、稽古に遅刻する役者は怒鳴られるが、本番ギリギリになって最終稿を上げてくる作家に対しては、大先生、よくぞ仕上げて下さいました、といった趣。「あの人は遅筆で有名」なんて、逸話にまでなってしまう。
まったくおかしな話である。

演劇人ならば、二三行書いて眩暈がするというような人たちを除いて(確かにそういう人も中にはいるようだ)、すべからく本を書くべきである。最近そう思う。
書いて初めてわかることがあまりにも多い。本を書かない役者の言う事を聞いていると、「ああ、この人も書けばこんなことは言わなくなるだろうな」というような事柄が多い。かくいう私も、書くようになってようやくわかったのだが。

第一稿なしで平然と稽古初日を迎えおおせる「作家の心臓」。私にも、そんな魔法の品があればと思う。
私は、とかく勝算がないと駄目なタイプなのである。(人は意外に思うらしい。)

勝算といえば。
目下、勧進今申楽の稽古中である。これも、ある日の稽古中、ふとしたはずみにある種の勝算を見出しているから、そこに向かって走れるのだろうな、と思う。
あの日はとても晴れていたので、外で稽古したのである。
陽の光を浴びながら、一人の女が、赤子を腕に抱きつつ歩んでいる。
折からの柔らかな風を受けて、子守唄か何か口ずさみつつ、歩んでいる。
私は、それを見て、美しいと感じた。
そして、ただそれだけで良い、と思った。

こういう勝算がある時の演劇は楽しい。誠に楽しい。困難も含めて楽しめる。

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2007年06月12日 22:59に投稿されたエントリーのページです。

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