多忙
先日、用事があって、多摩の東京都埋蔵文化財センターを訪れた。
そこで驚いたのだが、玄関を入ってすぐのところに、縄文土器が置かれていて、その表面に、不思議なモノが、張り付くようにして描かれている。
なにやら、人とも精霊ともつかぬそれは、バンザイをしているように見える。
これが、去年の夏から構想を温めてきたものの、暮れに目下の目標が「戦争もの」に移ってしまい、当面棚上げ状態にある「芸術家もの」に登場させようと思っていたキャラクターに、瓜二つなのである。
水木しげる氏が、江戸時代の鳥山石燕の絵など見て、自分の捉えた妖怪の感じが既にそっくり描かれていることを知って驚いたというようなことをしばしば述べておられる。ああ、こういうことかと思った。
私は、誠に僭越な表現で恐縮だが、次作の戦争ものは命がけで執筆、上演する覚悟であるので(そういう覚悟でないと許されない作品になる予定であるので)、その後に命があるかどうかわからない。
しかし、無邪気なバンザイで私を出迎えて見せた多摩の縄文人を見て、ああ、こっちも待っている、おちおち死んでもいられぬと少し思い直した。