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2008年07月 アーカイブ

2008年07月04日

「なんでもいいから、なんかやろーよー」

ある劇団の芝居を観に行った。芝居自体はなかなか面白かったのだが、帰りしな、その芝居の関係者に言われた言葉。
「元気?みんな心配してるよ。朧太夫が演劇界からいなくなっちゃうんじゃないかって。書いてる?」
はい、頑張ってます、今までの奴の再演のチャンスもうかがってます、とかなんとか答える最中、他のお客も劇場から出てくる。その中にも知り合いがいて、
「あ、朧さん。元気ですか?」
これまた幽霊でも見たような顔つきだ。前出の関係者が「ほら」と合の手を入れる。

確かに、もう少しペースをあげたいとは私も思っているのだが。

要するに、ポンポン書けるような才能がないのだ。年に3本だの4本だの。
特に今回取り組んでいる戦争ものは厳しい。想はなんとなく熟しつつあるのだが、とにかく書き出すのがえらくしんどい。これは一度、沖縄あたりに行かんとならんかな、いや下手に行くとかえって何も書けなくなるかもしれんぞ、などと悩みに悩んでいる。
正直、顔つきなんかもかなりゲッソリしてきていると思う。季節のせいもあるかも知れないが、最近は1日1~2食である。そして、これがある意味一番きついのだが、変な夢ばかり見るのである。

「なんでもいいから、なんかやろーよー」と、その関係者は言って下さった。「なんでもいいのかよ!」と心の中で突っ込みながらも、しかし、こういう底抜けな明るさが、今の私にはとてもよく効く。1月あまり前だったか、嘔吐下痢症なるものに初めてかかり、近所の病院で点滴を受けながら昏睡した時の感じにちょっと似ている。
「スクワレルー」という感じなのだ。

2008年07月06日

「舞歌」の次元に濾されなければ

親しくさせて戴いているSさんのお勧めで、大田文化の森ホールにオペラを観に行った。
皆さんオペラの演じ手としては大変魅力的なのだが、正統なオペラとオペラの間をつなぐ不正統(?)な寸劇的箇所になると、途端に人によって力の差が出てしまう。
なぜオペラをやってる時は魅力的なのに、寸劇となると駄目なのだろう…と考えつつ、もって自戒に変えることとした。
単に制御されていない身体を、「リアリズム」などという怪しげな美名で誤魔化すのはもうやめようや、という自戒である。舞台上のあらゆる所作は、制御されなければ、世阿弥の言う「舞歌」の次元に濾されなければならない。
(日本の伝統芸能の世界を知り尽くしている関係者が、朧座にしばしば惜しむように寄せる「美しくない」という言葉、それは上記の如き意味あいであるはずだ)
そして、オペラをやってる時はもちろん、やってない時も「舞歌」になってる方は、やはりとびきり魅力的なのである。九嶋香奈枝さんという方(モーツァルト『魔笛』のパパゲーナ役)が、まさにそういう演技をしておられた。
一面識もない演者に魅了されるというのは、実に幸福な体験である。

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