親しくさせて戴いているSさんのお勧めで、大田文化の森ホールにオペラを観に行った。
皆さんオペラの演じ手としては大変魅力的なのだが、正統なオペラとオペラの間をつなぐ不正統(?)な寸劇的箇所になると、途端に人によって力の差が出てしまう。
なぜオペラをやってる時は魅力的なのに、寸劇となると駄目なのだろう…と考えつつ、もって自戒に変えることとした。
単に制御されていない身体を、「リアリズム」などという怪しげな美名で誤魔化すのはもうやめようや、という自戒である。舞台上のあらゆる所作は、制御されなければ、世阿弥の言う「舞歌」の次元に濾されなければならない。
(日本の伝統芸能の世界を知り尽くしている関係者が、朧座にしばしば惜しむように寄せる「美しくない」という言葉、それは上記の如き意味あいであるはずだ)
そして、オペラをやってる時はもちろん、やってない時も「舞歌」になってる方は、やはりとびきり魅力的なのである。九嶋香奈枝さんという方(モーツァルト『魔笛』のパパゲーナ役)が、まさにそういう演技をしておられた。
一面識もない演者に魅了されるというのは、実に幸福な体験である。