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ある能のチラシを見て

毎年恒例の新宿御苑薪能。今年のポスターを先日初めて見かけた。
デザインが格段に進歩している。今までの、能面(白式尉)を載せただけのものよりよほど良い。
能のチラシで能面を使うのは、私はあまり好きではない。そういうチラシから受ける印象、それは
「あ、能ね」
その一事に尽きる。これは、能に馴染みがあるなしにかかわらずである。
能に馴染みがある人々には「お、今度のは気合が入ってるな」と期待させ、馴染みがない人々には「へえ、一度行ってみるか」という気を起こさせないといけない。
やる側は「能でござい」、見る側は「あ、能ね」。これを思考停止というのである。やる側にも見る側にも「能ってなんだ?」そういう問いを突きつけ続けるようなチラシでないといけないと思う。
そんな能のチラシ、はっきり言って見たことないが、今回の新宿御苑のはいささかなりともそういう方向性を示している。今まで見た能のチラシの中では、相当の佳作だと思う。新宿区観光協会は、サイトにもっと大きくこのデザインをうち出した方が良い。

さて、たいぶ持ち上げたところで、苦言も一言。
デザインは良くなったが、惹句がひどい。曰く、

「王朝の美学─伊勢物語と源氏物語」

なんとかならんか、こういうの…。

なお付言するが、能は能面を使うものばかりではない。直面物(ひためんもの)といって、能面を使わないものもあるのだ。能の宣伝に能面ばかり使う関係者は、直面物の価値がわかっていないのではないかと疑いたくなる。実際、直面物は、能面を使う曲に比べて一段低い位置に置かれているのだが、これは一度本気になって再考してみる必要がある。直面物にも素晴らしい名作は数多くある。

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2008年08月08日 22:24に投稿されたエントリーのページです。

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