頼家と政子の旅が始まる
今申楽第二回公演『修禅寺』、その脚本第一稿をつい先程書き上げたところである。
先日、ちと山梨に散歩に出かけた折、久方ぶりに甲斐善光寺に参詣した。で、すっかり忘れていたのだが、この寺の宝物館には源頼朝及び実朝の木造坐像が安置されていたのである。
ここで彼らの像に思いがけず再び出会ったのも、何かの縁かも知れぬ。そう思って、彼らに、今申楽第二回公演の成功を祈念する事にした。
先ず、頼朝像に向かって。「御長男並びに令夫人を取り上げさせて戴きます」
次に、実朝像に向かって。「兄君並びに母君を取り上げさせて戴きます」
そうして、最後にこの二体の将軍像に向かって。「何卒宜しくお願い申し上げます」
「あの二人を頼む」
二体の将軍像からも、そう、頼まれたような気がした。
話は変わって、今年のNHK大河ドラマ『義経』には、頼朝夫婦も登場しているのだが、時間がなくてあんまり真面目に観ていない。たまにはチェックしとくかと思ってテレビをつけたら、いきなり平幹二朗(後白河院)・夏木マリ(丹後局)両氏の顔がアップで画面に映し出された。
うわっ妖怪、私が見たいのは今回はあなた方じゃないんですが…と思ったらすぐに伊豆のシーンに移った。そうそう、こっちをチェックしときたいのである。
つまり、他の作家や脚本家が、京都じゃなくて東国ってものをどう描いているかに、今はいささかの関心があるわけだ。
頼朝・政子・時政(それぞれ中井貴一氏・財前直見氏・小林稔侍氏)が、平家に叛旗を翻そうとかなんとか、謀議している場面である。うーん、政子って、頼朝の生前からあんなに政治家然としてたんだろうか…個人的にはやや疑問。しかしともかく、主役の義経チームより、こっちの連中の方がなんだか存在感があるなあ…
そのうち、万寿(後の頼家)も出て来るのであろうか。
というわけで──今申楽第二作『修禅寺』は、源頼家と北条政子、この親子の物語である。
ともかく、第一稿は上がった。これから、頼家と政子の旅が本格的に始まるわけである。
執筆に今までのところ、約九ヶ月を要した。
この間、朧座衆の面々からは、様々の有難い助言と激励とを戴いた。この場を借りて厚く御礼申し上げたい。
また、友人のM氏には、別して謝意を表したい。私は、彼女との交流の中で、自分という者が今回の台本を書くに当たっての指針を見出だす事しばしばであった。