
能・狂言の元となった「申楽」。その、あり得たかも知れない今の姿を常に問い続ける一座。それが我々、今申楽 朧座です。
能・狂言に変貌する以前、草創期における「申楽」とは、一体いかなる芸能であったのでしょう。全体像を見た者は一人も生きてはおりません。ただいずれにせよ、この国の豊かな自然や史蹟を背景に、広く民衆の手によって祖先に向かって演ぜられる芸能であったでしょう。我々は、この座における催しが、演者、裏方、そしてお客様──縁あって当座にお集まり戴く全ての方々(朧座衆と我々は呼んでいます)のかけがえのないご尽力によっていかなる像を結ぶにせよ、それは「まつり」であって欲しいと考えています。
「まつり」──その催しに関わった全ての人間が、一時なりとも祖先の魂に思いを致す。その為のよすがとなるような、「素朴な思い出し」。
それが、我々の「今申楽」なのです。
朧太夫(おぼろだゆう)

俳優・劇作家・演出家。今申楽 朧座 主宰。学習院大学文学部日本語日本文学科中退。現代演劇に携わる傍ら、近年は伝統演劇にも関心を持ち、2004年、初公演『香炉峯』(作・演出・主演)にて今申楽 朧座を旗揚げ。『枕草子』を題材に、清少納言と中宮定子の深い心の絆を描いた。2006年には、第2回公演『修禅寺』(作・演出・主演)を上演(社団法人企業メセナ協議会認定)。将軍源頼朝の妻子、北条政子・源頼家母子の愛憎を描いた。これが、住職はじめ地元の方々により2007年の同寺開創千二百年祭の中心演し物として取り上げられることになった。出演作品多数。舞台『小さな水の中の果実』(鄭義信作 鄭義信・和田喜夫演出)『自由を我らに』(じんのひろあき作・演出)他。
山戸ちひろ(やまとちひろ)
今申楽 朧座 美術・演出補担当。東洋大学文学部印度哲学科卒業。東京造形大学室内建築専攻在学中。かねてより、日本人としてのアイデンティティーの所在に関心を抱き、「いまにいきる日本の表現」を模索していた折、2006年、朧座と出会い入座。同年『修禅寺』公演では、美術監督・面制作を担当。